2016/12/17
前回、「スタンプを登録しよう」で無事にクリエイターズマーケットの承認が得られました。
今回は、スタンプを海外向けに翻訳しました。
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海外向けスタンプについて
日本では、LINEのユーザ数が多く、市場としても魅力的です。しかし、LINE自体は、海外でも利用可能であり、ユーザ数も、台湾、タイ、インドネシアで多いことがわかります。
参照:LINE 平成28年12月期 第2四半期決算説明会 プレゼンテーション資料
せっかく作ったスタンプですから、多くの人の目にとまってほしいものですね。
では、海外向けスタンプに必要な対応方法を紹介します。
- 案1:スタンプからすべての文言を削除する
- 私たち日本人の立場で考えてみても、タイ語やインドネシア語の文言の入ったスタンプを購入して、日本人の友人に送信する、というのはなかなかハードルが高いですよね。このため、母国語以外の文言を削除する方が一般的には望ましいです。
- 案2:スタンプの文言を翻訳する
- 案1に比べて、手間がかかるものの、文言がないと意味のわかりづらいスタンプを補足できるため、購入してくれたユーザに価値のあるスタンプを提供できるようになります。
今回は、上記2つ案を併用して海外対応(以後、ローカライズと表記します)をしました。
LINEスタンプのローカライズ-翻訳したスタンプをつくろう
さて、ここで翻訳作業になります。
皆さんは、日本語以外で特異な言語はありますか?
とらいんぐには、バイリンガルな方は一人もいません・・・
しかし、インターネット上には、翻訳サイトがたくさんあります。
なんとかなるかと、自動翻訳にお願いしてみたのですが、なんかニュアンスが違う気がする、ということで止めました。
単語ならよいかもしれませんが、文章はやめた方が無難と思います。
文言内容もスタンプのリジェクト要因になりうるので、適切な文言に翻訳することにしましょう。
翻訳してくれる人を探そう
今回も、クラウドソーシングサービスサイトのココナラで、各国言語の翻訳サービスを提供している人を探しました。
言語によって、サービス提供者数や価格が異なっているので、しっかり調査されるとよいと思います。
なお、クラウドソーシングについては「スタンプをつくってもらおう」で記載しましたので、よろしければご覧ください。
今回は、台湾、タイ、インドネシア、スペインの4か国語にローカライズし、以下の料金でご対応いただけました。
台湾 500円
タイ 772円
インドネシア 500円
スペイン 500円
実は、スペインでもLINEは使われています。また、スペイン語を公用語とする国も多いので今回はスペイン語も翻訳しました。
個人的には、意外と安く対応してもらえたと思います。
ただし、翻訳者によっては、対応内容にかなり違いがでました。翻訳はもちろんしてくれますが、補足事項を丁寧に入れてくれる方や、まったく入れない方もいます。
例えば、補足事項としては、「おやすみを言う文化がない」「現地の人にとっては表現が強すぎる」といったものがあります。
こういったコメントがあると、無理やり翻訳した文言をつかうのではなく、あえて文言を使わない、という判断ができるようになりますよね。
サービス購入の前には、このような補足事項についても十分に交渉しておくことをお勧めします。
なお、ちょっとした嫌な体験談もありましたので、注意喚起しておきます。
まれに、サービスで書いてある価格より高い料金を提示してくる人がいます。
また、ココナラではなくメールでのやり取りを希望して、直接振り込むことを持ち掛けてくることがあります。
明確な規約違反ですし、信頼関係のない状態での直接取引はリスクがありますから避けた方がよいと思います。
スタンプの文言を差し替えよう
ぺけとらスタンプは、ココナラで契約したイラストレーターさんに一式作っていただきました。
このとき、pngファイルを納品してもらっている関係で、文言の差し替えがちょっと手間になってしまいました。
しかし、文言の差し替えを依頼するのも、イラストレーターさんにとっても価値のある仕事ではないでしょうし、とらいんぐとしてもコスト的に割に合わない感じがしましたので、自力でやることにしました。
今回は、今後のことも含めて、ツールを探しました。
パワーポイント → 不採用
パワーポイントは、Microsoftの有料の資料作成ソフトですが、文言と画像を組み合わせるのもお手軽にできるソフトです。
最初は簡単にできると思ったのですが、問題が発生しました。
パワーポイント上で生成した文言とスタンプを合成して、PNGに保存しようとすると解像度が変わってしまうという問題です。
調べてみると、多くの方が悩まされており、具体的な解決策も見つけられなかったので泣く泣くあきらめました。
Inkscape → 採用
無料のイラストツールであるInkscapeを使いました。
パワーポイントほどお手軽ではないですが、細かい操作ができるようになっています。
文字の縁取りや、クリッピングなども勉強しながら、無事に文言の差し替えができるようになりました
以上で、文言の差し替えについては対応できるようになりました。しかし、スタンプ販売にあたっては、次にあげる重要な問題があります。
スタンプのフォントの商用利用について気を付けよう
皆さんがスマホやパソコンで何気なく読んでいる文字の元はフォントデータと呼ばれるものから構成されています。
一般的に、フォントデータは誰かしらの所有物であり、有償で販売しているもの、無料で提供しているものがあります。
また、個人利用は、無料で提供していても、商用利用の場合は、有償といったものもあります。
このため、不用意に気に入ったフリーのフォントでスタンプの文言を生成して、スタンプを販売した場合、著作権者から金銭や販売差し止めの要求をされることもありえます。
スタンプに文言をつけるときは、フォントの権利関係に気を付けないといけません。
しかし、日本語のフォントであれば、フリーかつ商用利用可のものを探すのは容易なのですが、
海外のフォントとなると、フォントを探すのも大変ですし、利用規約を翻訳して権利関係を明確にしないといけないため苦労します。
今回、とらいんぐでローカライズに用いたフォントはフリーかつ商用可のものです。
同じように困られた方は参考にしてください。
台湾語
以下のサイトから探しました。
http://www.freechinesefont.com/tag/commercial-use-ok/
使用したフォントは、wangfontsです。
https://code.google.com/archive/p/wangfonts/downloads
なお、台湾語は、中国語と同じではなく、それぞれ以下のように表現しますので、フォントを探す場合はご注意ください。
台湾語(繁体字):Traditional Chinese
中国語(簡体字):Simplified Chinese
タイ語
以下のサイトから検索しました。
http://www.f0nt.com/
使用したフォントは、こちらです。
http://www.f0nt.com/release/wr-tish-kid/
このサイト自体もタイ語で書かれているため、利用規約を読むのに苦労しました。
結局、自動翻訳では判断がつかず、ココナラで、タイ関連のサービスを提供している方に、スタンプ販売で利用可能かどうかを確認しました。
結論としては、スタンプで利用する分にはフリーかつ商用利用可ということでした。
ただし、フォントデータそのものを販売する行為はNGのためご注意ください。
インドネシア語・スペイン語
インドネシア語やスペイン語で扱う文字はほぼ英語と同じで、文字の分類としては、ISO8859-1あるいはCP1252といった分類に含まれます。
このため、これらの分類をサポートしているフォントを探す必要があります。
言い換えると、単純に英語だけをサポートしているフォントでは文字が不足しているので注意が必要です。
ぺけとらスタンプでは以下のフォントを使わせていただきました。
インドネシア語:http://www.1001fonts.com/movavi-grotesque-font.html
スペイン語:http://tenbytwenty.com/?xxxx_posts=jura
インドネシアの悲劇
スタンプのローカライズも終わり、販売地域を国ごとにしぼって、スタンプ登録のリクエストを行いました。
今回も1週間程度経ったのち、LINEからメールがきました。
タイ語、台湾語、スペイン語は承認!!
一発OKでした。
しかし、インドネシア語が、リジェクトされました…。
理由はこちらです。
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3.12.宗教、文化、民族性、国民性を攻撃し、または特に不快感を与えるもの
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そんなスタンプあるわけないっ、と思ったのですが、指摘されたスタンプはこちらです。
イチャイチャ禁止!?
実際のところはわかりませんが、インドネシアでは、恋人が表立って仲良くするのはよくないようなのです…。
皆さんもインドネシア語対応されるときは、気を付けてくださいね。
なお、上記スタンプは、インドネシアではお蔵入りになって、以下のスタンプに差し替えました
インドネシア限定のスタンプです(笑)
なお、再リクエストは無事に承認されました。
まとめ
利用者数を増やすべく、スタンプを台湾語・タイ語・スペイン語・インドネシア語に翻訳しました。
翻訳は、できない人にとっては、かなりハードルの高い作業になります。
ココナラ等のクラウドソーシングを利用してお任せしてみるのも有効な手段の1つですので検討してみてはいかがでしょうか。
また、スタンプで利用するフォントは権利関係を慎重に判断しないといけませんので、ご注意ください。
最後に、インドネシアでカップル系のスタンプ登録のリクエストも慎重に…